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keyboard_arrow_right公開日:
2024/1/25
最終更新日:
2024/1/25
【基本】QCDとは?生産管理に役立つ考え方の基礎や管理方法を解説
「Onboarding」マーケティングチームメンバー
Muto Haru
WEBプロダクトの新規事業立ち上げ、DX推進、WEBサイト運用や広告などデジタルマーケティング歴10年以上。 ノーコードSaaSツール「Onboarding」マーケティングチームメンバー。
QCDとは、品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)の3つの要素を指す略語です。QCDの3つの要素のバランスを取ることが、企業経営において重要と考えられています。特に製造業で重視される考え方です。
近年、製造業を中心に多くの企業が人材不足という課題に直面しているため、生産や開発プロセスの最適化が求められています。この改善過程においても、QCDの考え方が欠かせません。QCDのバランスを考慮した経営を行うことで、企業の利益や信頼性、顧客満足度などを向上させられます。
ただし、3つの要素は相関関係にある点には注意が必要です。例えば、品質を優先するとコストが上がり、納期を早めると品質が落ちることが多くなります。どの要素を優先するかを考慮した上で、バランスの良い施策を打ち出すことが重要なのです。
この記事では、QCDに関する基本的な考え方の他、業務改善にQCDを役立てる際の方法も解説します。ぜひ製造業に限らず、業務管理に役立てる参考にしてください。
Qは「Quality」、品質です。
QCDで言う品質は、製品自体の品質を指します。コスパやタイパといった考え方での品質には、コストや納期なども含まれますが、ここでは製品の純粋な品質です。
製品の品質が悪ければ、たとえコストを下げて納期に間に合わせたとしても顧客の満足を得られません。そのため、品質はQCDの3要素の中でも特に重要であり、企業成長や顧客満足度に大きな影響を与えます。
Cは「Cost」、コストです。
製品の価格ではなく、その生産に必要な費用や時間を指します。変動費と固定費の両方を含む総費用です。
品質を高くするためには、生産機器を最新のものにしたり、多くの人や技術のある人を雇ったりする必要があるため、コストは増加する傾向があります。
Dは「Delivery」、納期です。
QCDの考え方では、納期は生産するために必要な期間です。原材料を調達し、製造し、発送して、お客様に納めるまでの期間を指します。それぞれの段階の間のリードタイムも含まれます。
一般的に使われる「納期」というと、期日を指すことが多くなっていますが、それとは異なることに注意してください。
近年では、QCDの考え方に追加される要素が増えています。例えば、Safety(安全性)、Service(顧客対応)、Environment(環境)、Flexibility(柔軟性)などです。これらの頭文字を付け足した派生語も多く生まれています。QCDS・QCDE・QCDF・QCDSEなどです。
これらの追加要素は、企業活動において重要性が増してきた項目でもあります。どのような派生語を採用するかによって、その企業が重視することがわかります。例えば、QCDSを標榜する企業は、品質・コスト・納期に加えて、安全性の確保を重視しているわけです。
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QCDは主に企業経営や生産管理において重要だと言われます。もちろん品質・コスト・納期は、すべてが大切な要素です。しかし、もっと大切なのが、そのバランスです。QCDの3つの要素を調整して、自社の経営に適したバランスを見出すことが求められます。
そのためには、QCDのバランスを俯瞰することが必要です。ここでは、QCDの3要素の関係性から、QCDの考え方が重視される理由を見てみましょう。
QCDの3つの要素は相互に関連しています。これらの3つの要素は独立しているものではなく、1つを変えると他の2つにも影響が及びます。
例えば、コストを削れば品質や納期が悪化します。逆に言えば、コストをかければ品質は向上させられるのです。しかし、コストが高いと利益は出ません。このように、QCDの各要素は相互に影響するため、3つの要素を一元的に管理し、バランスや優先順位を考慮することが重要です。
QCDは3つの要素が相互に関係し合っているものなので、改善するためには、生産から出荷までの全体を見直す必要があります。一般的には、なるべくコストをかけずに、高品質な製品を生産し、できるだけ短い期間で納品することを目指しています。
それぞれの部門は常に向上を目指していますが、バランスを決定するのは経営判断です。重視するのは品質か価格か、納期を短くして取引先に便利だと思ってもらうか、QCDは他社と差別化するポイントを設定する際の判断材料になります。
そのため、QCDは生産プロセス全体の最適化につながると考えられています。生産プロセス全体を最適化することで、業務の効率を向上させられるのです。特に、限られたリソースを振り分けて生産性を向上する必要がある際には、大きな手がかりになります。
QCDの3つの要素は相互に関連しているので、バランスを取ることが大切です。ただし、基本的にはQuality(品質)を優先することが望ましいとされています。
とはいえ、企業ごとの具体的な状況に応じて、他の要素を優先した方が良い場合もあります。QCDの優先順位の決め方や見直し方法について見てみましょう。
QCDの3つの要素の中で最も優先すべきものはQuality(品質)です。どんなに安価で納期が短くても、製品の品質が低ければ、顧客の満足は得られません。要求される品質を満たせなければ、ビジネスとして成立しないのです。
そのため、まずは品質を担保できる生産体制を構築し、顧客の信頼を得ることが必要です。このような理由で、基本的にコスト削減や納期の短縮を考える前に、高い品質の製品を顧客に届けることが優先されます。
品質(Quality)を最優先とした場合、コスト(Cost)と納期(Delivery)の優先順位は、顧客の要求や現場の状況によって変化します。例えば、顧客から短い納期を要求された場合は、多少コストが増えるとしても納期を優先することがあります。一方、予算が限られている場合は、コストを優先することが必要です。
品質を確保した上で、コストと納期に関しては顧客との間で調整し、最適なQCDのバランスを見つけることが重要です。
また、状況に応じて品質も含めて優先順位を変更することもあります。納期の遅れやコストの増加などが問題となる場合は、それぞれの要素を評価し直しましょう。顧客満足度を高めることを重視して、バランスを再調整します。
品質に注力しすぎると、顧客のニーズを無視することになりかねません。価格の高騰や納品の遅れなどにもつながります。顧客のニーズを考慮しながら、その時々の状況に応じたQCDの優先順位の設定が必要です。
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一つの要素に偏り過ぎると、かえって経営に悪影響を及ぼす場合があります。
例えば品質を優先しすぎてコストを度外視すると、製品が高額になり過ぎてしまいます。すると、販売しても売れ行きが伸びず、利益が上がらない可能性があります。
とはいえ、コストを優先しすぎると、十分な品質を保てません。その結果、顧客満足度が低下すれば新規顧客は得られず、リピーターもいなくなってしまうでしょう。
このように、QCDいずれかの要素を優先し過ぎると、バランスが崩れてしまいます。QCDの3つの要素は関係しあっているので、全体の最適化が重要なのです。
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QCDの3つの要素は、それぞれ評価し管理する必要があります。各要素の状況を正確に把握しなければ、バランスを取ることもできません。ここでは、品質管理、コスト管理、納期管理、そして5Sという4つの管理方法を説明します。
品質管理では、到達すべき製品の品質を設定します。そのために合格ラインを明確にして、検証可能な体制を整えることが重要です。
例えば製造業で品質を高めるためには、加工精度を向上させる設備、技術を持った人材の育成、不良品を見逃さないためのチェック体制などが必要です。とはいえ、品質にこだわり過ぎるとコストが増加し、納期も延びる傾向があります。そこで、顧客が要求する品質基準を明確にすることが大切なのです。
クリアすべき品質基準がわかれば、それを満たした上で、コスト削減や納期短縮の方法を検討できます。
コスト管理では、製品の製造にかかる人件費や原材料費のコントロールが必要です。しかし、コストの削減ばかりを目指してはいけません。人件費を過度に削ったり、設備費を抑えすぎたりすると、製品の品質が落ちてしまいます。また、安全管理がおそろかになり、重大な事故が発生するリスクも高まります。
そのため、コストを管理する際は、品質・安全性・納期を総合的に考慮することが必要です。安全性や品質を担保するための費用は確保しなければなりません。他の要素に悪影響を与えない範囲での、合理的なコスト削減を検討すべきです。
納期管理では、単に納期を早めることを指標にしてはいけません。納期に間に合わせることが、単純な納期の早さよりも重要です。
そのために、製造にかかる期間を把握する必要があります。必要な工数を割り出し、全体のスケジュール感を正確に算出し、遅延リスクを加味した納期の設定を行います。また、常に進捗を確認し、遅れが生じそうな場合は計画を見直すことが求められます。
5Sとは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」のローマ字表記での頭文字「S」を取ったものです。QCDを管理し、向上させるために有効な5つの行動とされています。
たとえば、整理整頓が不十分な職場では、必要な部品や道具の準備に時間がかかります。その結果、作業効率が落ちることが問題です。清掃や清潔が不十分な環境で製造された製品は、ほこりやごみの混入により、品質に悪影響を与えることが問題です。
このような小さな問題が積み重なることで、事故や不良品の発生率が高まります。そのため、5Sが行き届いていない職場では、QCDが低下すると考えられているのです。
したがって、QCDの管理では、5Sの状況も合わせてチェックすることが重要です。5Sの徹底により、QCDも向上させられます。
QCDを改善することで、顧客満足度や利益率が向上し、ビジネス全体が好影響を得られます。また、QCDを改善するためには、一連の手順とサイクルがあります。手順を詳しく見てみましょう。
QCDの改善には、現場の生の声を取り入れることが欠かせません。売上や製造履歴などのデータからも問題を発見できますが、日常的な業務の中でしか見えない問題も多いためです。
担当者からのヒアリングを通じて、課題を抽出することが重要です。また、実際に現場で行われている生産から出荷までのワークフローを把握することで、生産工程の無駄を発見できるかもしれません。
顧客へのヒアリングも課題の発見に役立ちます。顧客の考えやニーズを引き出し、QCDのバランスを調整するヒントを得られます。
課題が発見されたら、その課題に対する改善案を企画します。改善案を企画する際には、計測可能な指標を設定することが重要です。コスト、納期、顧客満足度、作業ミス率などの数値として計測可能な指標を用いることで、具体的かつ効果的な改善策を立てられます。
改善方法は一つではありません。様々な方法が提案されるはずです。その中から、特に効果的だと思われる手段を選び、実施します。限られたリソースの中で最も効果的な施策を選定することが重要です。
また、改善案にはコストがかかるものと、大きなコストをかけずにできるものがあります。大きな効果が見込め、コストが低いものを優先すべきです。コストのかかる改善案は、予算や時期を考慮して順次実施します。
改善企画を実施した後は、実際に効果が得られたか検証することが重要です。そのために、企画時に設定した指標に変化があったか確認します。また、その他のQCDの指標の変化も評価対象になります。
効果検証をすることで、改善企画自体の評価が可能です。成功した施策は継続することでさらに効果を高められます。期待した効果が得られなかった施策は、その原因を分析し、新たな改善企画に活かします。そして、定期的な検証を続け、改善のPDCAサイクルを効率良く回しましょう。
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QCDは、品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)の3つの要素を指します。いずれもビジネスにおいて重要な要素です。また、QCDは相互に関連しており、1つを変えると他の2つにも影響が及びます。
そのため、QCDを考慮することが、全体の最適化につながります。限られたリソースを振り分けて最適なバランスを維持することで、生産性を最大化する大きな手がかりになるのです。
基本的にはQuality(品質)を優先することが一般的です。ただし、企業ごとの具体的な状況に応じて、他の要素を優先した方が良い場合もあります。
また、QCDを改善する際も、それぞれの要素の指標に加えて、バランスを考慮することが大切です。常に実際の現場の状況や指標を検証しながら、改善サイクルを回しましょう。
QCDのバランスを考慮することで、生産性や利益率、顧客満足度などを向上させられます。ぜひQCDの考え方をビジネスに活かしてください。
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