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SaaSの新戦略 PLG(Product-Led Growth)とは?SLGとの違いと特徴

公開日:

2022/04/19

最終更新日:

2023/5/15

SaaSの新戦略 PLG(Product-Led Growth)とは?SLGとの違いと特徴

PLG(Product-Led Growth)とは

PLGとは

PLG(Product-Led Growth)は、米国のOpenView Venture Partnersが提唱したSaaS戦略の1つ。自然とエンドユーザーのなかでプロダクトの知名度が上がり、ユーザーが自発的に有料版にアップグレードしたくなるようにプロダクトを設計することで事業をグロースさせる戦略です。

 

プロダクト開発とは別にリード生成やセールスを仕掛けていたSLG(Sales-Led Growth)とは、考え方がまったく異なります。

 

しかし、どのサービスにもPLGが最適というわけではなく、PLGには適したサービスが存在します。本記事では、PLGのメリットや必要なポイントなどについて解説します。

 

▼PLGについて詳しく知りたい方はこちら
『PLGとは?SaaS業界の新戦略。メリットと導入メソッドを解説』

 

なぜ今、PLGが注目されているのか

なぜ今、PLGが注目されているのか

PLGが注目されだした理由は、PLGを導入した海外SaaSスタートアップの成功事例が蓄積され、日本でも関心が高まっているためです。

 

PLG導入企業は、2012年はLogMeInだけでしたが、2020年にはSlackやZoom、Dropboxなど日本でも広く利用されているサービスが含まれています。
(参照:What is Product-Led Growth? How to Build a Software Company in the End User Era

 

SaaS企業全体の企業価値が$2,304であるのに対して、PLG導入企業では約2.3倍の$5,224だという調査結果も、PLGへの期待が高まっている理由の1つです。
(参照:OV | 2018 EXPANSION SAAS BENCHMARK

PLG(Product-Led Growth)とSLG(Sales-Led Growth)の違い

PLG(Product-Led Growth)とSLG(Sales-Led Growth)の違い

PLGとSLGでは、組織体制やプロセス、適しているサービスが異なります。提供したいサービスがどちらにふさわしいのかを吟味したうえで、戦略を決定しましょう。

 

PLGの組織体制とプロセス

プロダクト内部にリード生成やセールスの機能も組み込むため、PLGの組織体制はプロダクトチーム主導です。ただし、スムーズなプロダクト設計のためには、全チーム一体となる組織体制が重要ともいえます。

 

プロダクトをユーザーが使い始めてからリード生成やセールスが始まるため、PLGのプロセスではまずエンドユーザーに無料でサービスを利用してもらうところから始まります。

 

CAC(顧客獲得コスト)をできるだけ抑えるため、その後のアップセル提案プロセスは、テックタッチによる自動オンボーディングが中心です。

 

PLGに適したサービスの特徴

低単価で、プロダクトの提供価値が明確なサービスはPLGに好適です。PLGではエンドユーザーに直接セールスを行うことになるため、サービス単価が低いほどアップセル提案は成功しやすくなります。

 

また、エンドユーザーに利用を継続してもらうためには、エンドユーザーが抱える課題を解決できるか否かも重要です。

 

サービス利用までをエンドユーザー自身で行ってもらうためにも、プロダクトそのものの利用しやすさ・課題解決力をはっきり示せるサービスとPLGを組み合わせましょう

SLGの組織体制とプロセス

一方、SLGではリードに売り込まなければサービスを利用してもらえないため、組織体制はセールスチーム主導です。セールスやカスタマーサクセスを通して、顧客からの要望などがプロダクトチームへと伝わり、個別に対応するハイタッチのアプローチを取ります。

 

そのため、SLGのプロセスではまずマーケティングのリード生成が必要です。セールスによってリードが顧客となり、顧客とのやり取りはカスタマーサクセスが担っていくことで、顧客の定着を目指します。

SLGに適したサービスの特徴

ハイタッチが基本なので、SLGには高単価・多機能かつセールスで価値を伝えやすいサービスが適しています

 

少ない顧客に長く価値を提供するため、プロダクトは機能が豊富で広く活用できるべきです。複雑なプロダクトであっても、セールスで価値が伝えられれば問題ありません。

 

▼あわせて読みたい
『【解説】PLG戦略実行におけるフレームワークと成功のカギ』

PLGを導入するメリット

PLGを導入するメリット

これまで、PLGとSLGの違いや適したサービスの特徴について解説しました。適したサービスにPLGを導入することで、顧客・ビジネス双方に以下のようなメリットが生まれます。

①顧客に向けたメリット

PLGではエンドユーザーにフォーカスするため、サービスの利用価格が抑えられていることが顧客への大きなメリットです。エンドユーザー数を拡大するためにも、事業が発展したあとも低価格プランの選択肢が顧客には与えられます。

②ビジネス上のメリット

ビジネス上のメリットは、拡大のしやすさです。直接セールスが不要で、時間をかけさえすれば低いCACで顧客数を拡大できます。時間の経過とともにプロダクト開発が進めば理想的な顧客像をより具体化できるため、より効率的に高単価の顧客もターゲットにできるでしょう。

 

▼こちらもおすすめ
『Product Led Onboarding™️(プロダクト・レッド・オンボーディング) -タイムトゥバリューを短くする”EUREKA”フレームワーク –』

PLGに必要な4つのポイント

PLGに必要な4つのポイント

PLGのメリットは上述のとおりですが、PLGをスムーズに導入するためには気をつけるべきポイントもあります。
What the heck is Product-led Growth?」に基づいて、4つのポイントを解説しましょう。

①【Product】価値を感じやすいプロダクト設計を行う

ユーザーの不便を取り除く、そのプロダクトなしでは仕事ができないなど、ユーザーにとっての価値を感じやすいプロダクト設計を行いましょう。ユーザーに価値を感じてもらうためには、重要でないものは取り除いて、すぐに価値が感じられる設計にしておくことも重要です。

②【Marketing】プロダクトを導入していない企業や組織の人がサービスに触れる機会がある

プロダクトが自らの認知度を広める機能を備えていること、すなわちバイラル性を持つことが必要です。また、エンドユーザー数が多いレッドオーシャンをターゲットにすれば、ユーザーがサービスに触れる可能性は自然と高まります。

③【Pricing】フリーミアムや、フリートライアルを導入している

サービス利用を促進させるため、フリーミアムやフリートライアルで初期費用の障害を取り除くことも必要です。

 

合わせて、適切なタイミングでペイウォールを発動したり、段階的なアップセルを仕掛けられる料金体系を用意したりしておきましょう。

 

利用者を増やしつつ、既存顧客にもメリットがある方法として、たとえば「友人紹介プログラム」もあります。既存顧客が友人等を誘って利用者を増やせば、無料や割安で追加のサービスを双方が受けられるシステムです。利用者がセールスの役割を担ってくれることもポイント。

④【Customer Success】カスタマーサクセスが効率的に機能している

ユーザーが価値を感じてアップセルに応じるためには、カスタマーサクセス(CS)が効率的に機能している必要があります。効率を高める方法の1つは、セルフサービスに注力することです。

 

ユーザーが自助努力で問題を解決できれば、CSはより大きな問題に注力できます。適切なタイミングでアップセルを提案できるシステムを整えておくことも重要です。

 

▼ユーザーの自走にかかせないオンボーディングについてはこちら
『SaaSのカスタマーサクセスにおけるオンボーディングとは?重要ポイントや成功事例をご紹介!』

PLGを成功させるために必要な取り組み

これまで解説したPLGの導入に必要なポイントを踏まえて、PLGを成功させるために必要な取り組みも解説します。

①Call To Action(CTA)の仕組みを構築する

Call To Action(CTA)の仕組みを構築しましょう。CTAとは、特定のイベントに対して取るべきアクションを決めておくこと。

 

プロダクトの利用率など一定の基準をユーザーが満たした際に、自動的なアップセルの提案と、必要に応じてセールス担当がユーザーにコンタクトできる体制を整えておきましょう

②パーソナライズされたメッセージや提案が表示できるシステムを導入する

PLGを成功させるためには、パーソナライズも必要です。これまでのSaaSでは画一的な対応が一般的でしたが、パーソナライズさせることで成約率を高めることが主流になりつつあります。

 

CTAにおいて、パーソナライズされたメッセージや提案が表示できるようにシステムを構築しておきましょう。

 

▼こちらもおすすめ
『SaaSプロダクトにおけるチュートリアルの役割とは?オンボーディング促進の活用方法を解説!』

PLGを成功させている海外サービス事例

PLGを成功させている海外サービス事例

これまでは、体系化されたPLGの基本について解説しました。ここからは、実際にPLGを導入して成功した海外サービス事例を紹介します。

①Slack

SlackはPLGの基本を押さえています。まず、友人や口コミから知った人が試しにサービスを利用し始めます。仕事で使える機能が豊富であることから日常的に使うようになり、必須ツールの1つに。

 

無料プランではアプリ連携数やストレージが限られていることなどから、時間の経過とともに有料プランへと移る人が増えていくわけです。

 

基本操作は単純で、公式サイトのマニュアルも充実しており、まさに上述のPLGに必要な4つのポイントをしっかりとSlackは網羅しています

②Zoom

セールスではなくプロダクト設計に注力しているという点で、ZoomもPLGを成功させたサービスの1つといえます。Zoomに価値を感じたシリコンバレーのユーザーが外部の人間とミーティングをする際に利用し始めたことで、徐々に利用者数が増加しました。

 

Zoomが提供する価値は、リンクを踏むだけやシンプルなUIといった利便性や、通話品質の高さです。さらに、無料版の最大利用時間は最適な会議時間とされる45分より少し短い40分とすることで、自然なアップグレードの流れを生み出しました。

 

創業から4年後にエンタープライズプランを展開したことからも、ZoomがPLGに沿ってしっかりと戦略を練っていたことがわかります。

③Dropbox

バイラル性に優れたサービスの1つがDropboxです。Dropboxユーザーではない人にDropbox内のファイルを共有する際、ユーザーが送信するのはURLのみ。相手はファイルの共有を通して、自動的にDropboxの存在を知ることになります。

 

クラウドサービスであるDropboxが社内で浸透すれば、それなしでは仕事ができない状態に。社外との情報共有にも利用してもらうことで、PLG的にDropboxユーザーがますます増やせる好循環を生み出しました

 

PLGを実現するオンボーディングツール「Onboarding」

「PLGとSLGの違い」でも述べましたが、PLGは顧客単価が低いため、できるだけオンボーディングは自動化してプロダクト開発に注力することが必要です。

 

また、CSを効率的に機能させるためにも、人的サポートが必要な場面はできるだけ減らすことが求められます。オンボーディングツールを活用することで、効率的にユーザーを獲得・定着させられるシステムを構築がとても重要になります。

 

弊社がご提供する「Onboarding」は、PLGの実現に重要なオンボーディングをサポートするツールです。

 

ノーコードで簡単にチュートリアルやガイド作成ができるため、エンジニアのリソースを使わずにオンボーディングを自動化、人的サポートの工数をできる限り減らすことが可能です。

 

PLG施策をご検討中の方は、まずは是非以下の資料をお問い合わせください。

 

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