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keyboard_arrow_right公開日:
2022/05/16
最終更新日:
2023/5/15
【解説】PLG戦略実行におけるフレームワークと成功のカギ
「PLG(Product Led Growth プロダクトレッドグロース)」とは、営業やマーケティング、カスタマーサクセスといった活動をプロダクト自体に組み込むことで、「プロダクト主導でプロダクトを売り、成長させる」戦略を指します。
従来、製品の販売にかかわる活動は営業マンやマーケターといった各担当者による、対面での提案や広告などといった手法をとって「プロダクトの外部」で行われることが一般的でした。このような、「営業主導でプロダクトを売り、成長させる」従来型の戦略は「SLG(Sales Led Growth セールスレッドグロース)」と呼ばれます。
プロダクト主導の「PLG」と営業主導の「SLG」では、プロダクトが認知されてから顧客化に至るまでのフローが大きく異なることがポイントです。以下の図をご覧ください。
PLGとSLGのプロダクトが認知されてから顧客化に至るまでのフロー
PLGの場合、認知後は実際にプロダクトを試してもらうところからユーザーとの関わりが始まります。
PLGでは、プロダクトを利用する中で、特徴や使い心地を実体験してもらうことができます。そのため、ユーザーは「思っていた価値が得られそうか」「本当に使いこなせるか」といった期待や不安への答えをより明確に、かつ早期に得ることが可能です。これにより、具体的な契約の検討・判断のスピードも早まります。
一方SLGの場合、資料などからプロダクトの情報を得て、営業担当者から具体的な提案を受け、疑問点を質問する……といったように、契約に至るまでより長い時間がかかります。
顧客化までに長いフローを要するSLGでは、ユーザー側・プロダクトの提供側双方に負担がかかります。そればかりか、期間中にユーザーが他社への乗り換えを検討しやすくなってしまったり、説明された内容と実際の機能の差異によるトラブルにつながったりするデメリットも考えられます。
もちろん、必ずしもPLGのほうが優れているというわけではありません。プロダクト・ターゲットユーザーの特徴や状況にあわせて、戦略を使い分けていくことが必要です。しかし、PLGを適切に用いることができれば、より効率的なプロダクトの成長につながります。
本記事では、実際にPLGの戦略をとる場合に気をつけたい内容に焦点を当て、
・PQL(Product Qualified Lead プロダクトクオリファイドリード)の設定
・PLGと相性が良いプロダクト
・PLGの成功に欠かせない「Call To Action」「Personalize」
以上の3点について解説していきます。
PLGの戦略において気をつけるべき要素として「PQL(Product Qualified Lead プロダクトクオリファイドリード)」があります。
まずは、PQLがマーケティング・セールス活動の中でどういった意味を持つのかを解説します。
PQLとは、「無料版の製品を試用している見込み顧客」を指します。
PLGにおけるマーケティング・セールス活動では、以下の図のとおりPQLを有料顧客に転換していくアプローチを行います。
PLGモデルにおける有料転換の図
優良顧客に転換してもらうために適切なアプローチを行うためには、「見込み顧客」を定義する基準設定が重要です。
というのも、無料版を契約した中には「誤って申し込んだ」「キャンペーン目当て」「とりあえず申し込んだが導入時期は全く決まっていない」といった、実際は利用の意思がない、または極めて弱い顧客も含まれる可能性があります。顧客データ(例えば、プロダクトのターゲットと大幅に業種・企業規模などが外れていないかなど)や、無料版における必要な設定の完了有無、利用頻度なども基準として考慮し、アプローチすべきリードかどうかを見極めるようにしましょう。
なお、SLGにおいては、PQLの対比となる「SQL(Sales Qualified Lead セールスクオリファイドリード)」という概念があります。SQLについても、プロダクトの販売活動における意味を確認しておきましょう。
SQLとは、「営業によるアプローチを行うべき見込み顧客」を指します。
SLGにおけるマーケティング・セールス活動では、以下の図のとおりSQLを有料顧客に転換していくアプローチを行います。SQLと見なす適切な基準(例えば、見積もりの要求がされているかなど)の設定が重要であることはPQLと同様です。SLGの場合、マーケティングチームがSQLの基準を満たすと判断したリードを営業チームに受け渡します。
SLGモデルにおける有料転換の図
冒頭で述べたとおり、やみくもにPLGを取り入れればよいというわけではありません。ここからは、どういったプロダクトの場合にPLGが特に効果を発揮するかを解説します。
ウェス・ブッシュの著書「PRODUCT LED GROWTH」で紹介されているフレームワークである、「MOAT」を使ってPLGが最適な戦略であるかどうかを見極めていきましょう。
MOATフレームワークでは、以下の4つの観点でどのような戦略を取るべきかを評価します。順に見ていきましょう。
①Market strategy(市場戦略)
②Ocean conditions (競争環境)
③Audience(顧客の意思決定者)
④Time-to-value(価値提供にかかる時間)
市場戦略を「プロダクトの価格」と「プロダクトの優位性」で分類した場合、「ドミナント戦略」と「ディスラプティブ戦略」がPLGに適しています。
「ドミナント戦略」とは、「既存プロダクトよりも安価で、かつ使い方がわかりやすく優れた機能を持つプロダクト」がとるべき戦略です。
「ディスラプティブ戦略」とは、「低価格で、機能は既存よりダウングレードしたプロダクト」がとるべき戦略です。
いずれの戦略の場合も、「プロダクトの価格が安価であるため、比較的顧客に製品を試してもらいやすい」「機能がわかりやすい、あるいは最低限の機能のみに絞られているがゆえに理解が簡単である」という点がPLGに向いているポイントです。
一方、「既存プロダクトより高価だが、特定のニーズに特化した高度な機能を持つプロダクト」がとるべき「差別化戦略」の場合は、細分化されたニーズにフィットするきめ細かな提案・サポートや、高価格に見合った手厚い対応が求められるため、PLGは不向きです。そもそもニッチな市場を対象にした戦略であるため、アプローチが必要な顧客数も、営業担当者が直接対応可能な範囲に収まる傾向にあると想定されます。
競争環境は、市場が未成熟だが成長余地があり競合も少ない「ブルーオーシャン」と、市場が成熟しており多くの競合がいる「レッドオーシャン」の2つに大別できます。
PLGとマッチしやすいのは「レッドオーシャン」です。レッドオーシャンでは既存のプロダクトに対する不満や課題がすでに明らかになっており、顧客自身がニーズをはっきりと自覚しています。そのため、手厚いフォローがなくとも顧客がプロダクトを理解し、導入を検討する素地が整っていると言えます。
「ブルーオーシャン」においては、まず顧客にプロダクトがどういったものであるか理解してもらうところからスタートしなければなりません。未知のプロダクトについて顧客の潜在ニーズを発掘したり、丁寧に価値を説明したりするためには、SLGのほうが適しています。
PLGにおいては、「実際にプロダクトを利用することで、価値を体感してもらう」ことが重要なポイントです。ここで、プロダクトを使う担当者とプロダクトの導入を判断する意思決定者が同じであれば、PLGの戦略がうまく機能し、購入に直結します。
しかし、プロダクトの利用者と意思決定者が異なる場合は、意思決定者に対しては別のアプローチを行う必要があるため、PLGのみで顧客化を完結させることは難しくなります。特に、単一の業務ではなく会社全体の課題解決に関わるプロダクトや、複数の部署にまたがって導入が必要なプロダクトの場合は、利用者の一存で意思決定を行えないことが多いため注意すべきです。
ユーザーがプロダクトの価値を感じられるまでにかかる時間が短ければ短いほど、PLGに適しています。サインアップのためのフローが長すぎたり、複雑な初期設定が必要だったりする場合、ユーザーは利用を開始して価値を実感する前に離脱してしまいます。そもそもユーザーにとって身近かつわかりやすい課題を解決できるプロダクトになっているか、プロダクトのユーザビリティに問題がないかをチェックした上でPLGの戦略を取るべきか判断しましょう。
PLGを成功させるために不可欠な要素として、「Call To Action(CTA)」「Personalize」の2つを解説します。
Call To Actionとは、特定のイベントが発生した際にオペレーターへ通知する仕組みを指します。プロダクトの利用率や、ユーザーがプロダクト上で行う特定の操作などをあらかじめ条件として設定しておき、その条件を満たした場合に自動でオペレーターに通知がされる仕組みを整備しておくことで、適切なタイミングでPQLを有料顧客に転換するためのアプローチを行うことができます。
Call To Actionがうまく機能していないと、せっかくプロダクトの利用を通して有償契約のニーズを喚起することに成功しても、その機会を逸してしまいかねません。また、営業担当やカスタマーサクセス担当がプロダクトの利用状況を常に監視しつづけるというのも、現実的ではありません。PQLから有料顧客への転換率を効率的に最大化するため、PLGの戦略立案時はCall To Actionの設計もセットで検討しましょう。
顧客のニーズに対してよりフィットした価値を提供するため、プロダクトがパーソナライズ機能を具備していることも、PLGの成功に必要な要素です。
パーソナライズの具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
・利用期間に合わせて段階的に使い方のガイドを表示する
・ユーザーが頻繁に利用している機能の拡張版が使えるプランをリコメンドする
・ユーザーの利用状況や属性に応じて不要なメッセージを表示しないように制御する
プロダクトの利用データを元に、ユーザーそれぞれの使い方にあった適切な提案を行うことで、ユーザーニーズを満たし有料顧客化を促すことができます。
本記事では、PLGの実行時に留意すべき内容として、PQLの設定や適したプロダクトの見定め方、不可欠な要素である「Call To Action」「Personalize」について解説しました。
PLGの特徴を理解した上で適切に自社の戦略に取り入れることで、プロダクトの成長につなげましょう。
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