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問い合わせ分析から始める、会員サイト・業務システムのUX改善

公開日:

2026/08/27

最終更新日:

2026/8/28

問い合わせ分析から始める、会員サイト・業務システムのUX改善

問い合わせ分析から始める、会員サイト・業務システムのUX改善

取締役COO

藤原タケフミ

株式会社STANDS取締役COO。ノーコードでWebサービスのユーザー体験を改善する「Onboarding」を提供。営業・CS・マーケティングを統括し、生成AIを活用したサービス改善と事業成長に取り組んでいます。

藤原タケフミ

株式会社STANDS取締役COO。ノーコードでWebサービスのユーザー体験を改善する「Onboarding」を提供。営業・CS・マーケティングを統括し、生成AIを活用したサービス改善と事業成長に取り組んでいます。

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会員サイトや業務システムに同じ問い合わせが繰り返し寄せられると、FAQの追加や応対フローの見直しに目が向きがちです。しかし、その問い合わせは、ユーザーがどの画面で迷い、何を理解できず、目的を達成できなかったかを示すUX改善の手がかりでもあります。

この記事では、問い合わせデータを改善課題へ変換する分析手順と、既存システムで小さく検証する方法を整理します。


この記事の要点

  • 問い合わせは、ユーザーが目的を達成できなかった箇所を知るための定性データになる

  • 用件別の件数集計ではなく、ユーザーの目的・発生画面・迷いの原因までひもづける

  • 改善の優先順位は、問い合わせ頻度だけでなく事業影響と改善可能性も含めて決める

  • 問い合わせデータと操作・離脱データを組み合わせ、実装後も同じ分類で効果を測る

なぜ問い合わせ分析がUX改善の起点になるのか

問い合わせには、ユーザーが画面上で解決できなかった問題が本人の言葉で残っています。応対記録として閉じず、目的達成を阻む箇所のデータとして捉え直すことが、UX改善の出発点です。


 問い合わせは「目的を達成できなかった記録」

「住所変更の場所が分からない」「申請したのに完了したか判断できない」といった問い合わせの裏には、ユーザーが達成したかった目的と、それを妨げた画面や手続きがあります。


ここで見るべきなのは質問文だけではありません。ユーザーは何をしようとしていたのか、どの画面まで進んだのか、何が分からず止まったのかまで分解すると、問い合わせを具体的な改善課題へ変えやすくなります。


用件別集計だけでは改善箇所を特定できない

コンタクトセンターでは「契約変更」「操作方法」「エラー」など、応対しやすい分類で問い合わせを集計することが一般的です。ただし、「操作方法が分からない」だけでは、どの画面をどう変えるべきか判断できません。


同じ操作方法の問い合わせでも、原因は異なります。


  • 専門用語や利用条件を理解できない

  • 目的のページへたどり着けない

  • 手順が長く、次の操作を見失う

  • エラーの原因や復帰方法が分からない


なお、問い合わせデータに表れるのは、実際に連絡したユーザーの困りごとです。問い合わせずに離脱したユーザーの迷いは含まれません。

画面の離脱率、エラー発生箇所、操作完了率などの行動データも組み合わせることで、改善対象を見誤りにくくなります。


 問い合わせデータをUX課題へ変換する4つの手順

問い合わせを改善につなげるには、集計より先に分類軸を整えます。「どんな質問だったか」から一歩進めて、「どの目的が、どこで、なぜ止まったか」を記録するのがポイントです。


 1. ユーザーの目的と操作ステップにひもづける

まず、問い合わせをユーザーが達成したかった目的でまとめます。会員サイトなら住所変更や支払方法変更、業務システムなら初期設定や申請・承認などです。そのうえで、問い合わせが発生したページや操作ステップをひもづけます。


最低限、次の項目があると分析しやすくなります。


問い合わせ内容だけで発生画面を判断できない場合は、応対時に利用ページを確認する、フォームに対象機能を選ぶ項目を置くなど、データの取り方から見直します。


2. 迷いの原因を分類する

次に、問い合わせの表面的な用件ではなく、迷いを生んだ原因で分類します。最初から細かくしすぎず、用語・導線・手順・エラー・権限やルールといった大分類から始めると運用しやすくなります。


たとえば「申請できない」という問い合わせでも、入力条件を知らない場合と、承認権限がない場合では改善方法が違います。前者は入力画面の説明で改善できる可能性がありますが、後者は権限設計や業務ルールの見直しが必要です。


3. 頻度・事業影響・改善可能性で優先順位を決める

問い合わせ件数が多いものから直すだけでは、事業への効果が小さい改善に偏ることがあります。優先順位は、次の3点で決めます。


件数は少なくても、重要な申請の未完了や誤操作につながる問い合わせは優先度が高い場合があります。反対に、件数が多くても個別判断が必要な相談は、無理に自己解決へ置き換えず、有人対応へ迷わずつなぐ設計が適しています。


4. 改善仮説と指標をセットにする

原因と期待する変化を含む仮説にします。


たとえば、「入力項目の用語が理解できないため離脱している。項目の横で意味と入力例を示せば、入力エラーと該当問い合わせが減り、完了率が上がる」という形です。実装前に見る指標まで決めておくと、施策を続けるか、本体改修へ進むかを判断しやすくなります。


 分析結果をどのようなUX改善へつなげるか

原因が分かったら、その裏返しとして満たすべき設計条件を決めます。いきなり機能を選ぶのではなく、先に改善原則を置くと、FAQ、画面改修、ガイドなどの手段を適切に選べます。



問い合わせ削減は、サポートへの接点を減らすこと自体が目的ではありません。ユーザーが自分で進める場面を増やし、人の判断が必要な相談にはスムーズにつなぐことが大切です。


 大規模改修を待たずに改善を試すには

改善仮説が見つかっても、会員サイトや業務システムの本体改修には時間がかかることがあります。課題の性質に応じて実装手段を分け、小さく検証できるものから始めます。


本体改修、コンテンツ改善、画面上サポートを使い分ける


画面上のサポートは、本体改修の代わりではありません。先に改善仮説を試し、効果が確認できたものを本体へ組み込む使い方もできます。


Onboardingは、既存画面にガイド、ヒント、ナビゲーションを追加し、利用状況を確認しながら改善する実装手段の一つです。本体サービスを改修せずに追加できるため、問い合わせ分析で見つけた仮説を段階的に試せます。実際に適用できるかは、対象システムの構成、タグの設置可否、権限、セキュリティ要件などの確認が必要です。


問い合わせを起点に改善した事例

ANA X株式会社では、複雑な旅行予約の操作や用語に関する問い合わせが発生していました。問い合わせが多い箇所へヒントを設置し、複数ホテルを組み合わせる操作などにはチュートリアル形式のガイドを用意。予約操作に関する電話問い合わせは、導入前と比べて27%減少しました。

東京電力エナジーパートナー株式会社では、電気・ガスの申込画面で難解な用語を補足し、ユーザーの目的に応じたナビゲーションを設定しています。A/Bテストで効果を確かめ、旧サイトで把握した途中離脱の理由をサイトリニューアルの参考にも活用しました。


共通するのは、一般的な説明を増やすだけでなく、実際に迷いが生じる画面と操作へ改善を戻している点です。


問い合わせ削減とUX改善の効果をどう測るか

効果は問い合わせ件数だけで判断しません。ユーザーが目的を達成できたか、どの改善が機能したか、改善サイクルを継続できているかの3層で確認します。



問い合わせ件数は、分析時と同じ目的・画面・原因の分類で比較します。全体件数だけを見ると、利用者数や繁忙期の影響を受け、施策の効果を判断しにくいためです。必要に応じて利用者数や手続き件数あたりの問い合わせ率も確認します。


改善後に残った問い合わせは、次の分析材料になります。コンタクトセンターが受け取ったVoCと、プロダクト側の行動データを定期的に持ち寄り、「分析 → 改善箇所の特定 → 実装 → 効果検証」を同じ分類で回すことが、継続的なUX改善につながります。


まとめ:問い合わせ対応を、迷いを減らす仕組みづくりへ広げる

最初の一歩は、件数の多い問い合わせを探すことではありません。問い合わせをユーザーの目的、発生画面、迷いの原因へ分解し、行動データと重ねることです。そこまで整理できれば、FAQで補うのか、画面上で案内するのか、本体システムを改修するのかを判断しやすくなります。


問い合わせデータを蓄積しているものの、改善箇所へうまく結びつけられていない場合は、対象となる手続きと問い合わせ分類を整理するところから始めてみてください。Onboardingでは、見つかった改善仮説を既存画面で試し、利用状況を見ながら改善する方法をご相談いただけます。

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