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近年、業績の向上につながる指標として「NPS®」(Net Promoter Score)の注目度が高まっています。NPS®とは、米国のコンサルティング会社「Bain & Company」によって考案された、顧客ロイヤルティを測定する指標の一つです。
顧客ロイヤルティの測定方法といえば、「顧客満足度調査」を一番に思いつく方も多いでしょう。「顧客満足度調査」では一般的に「この商品やサービスに満足していますか?」と質問します。しかし、顧客満足度調査の質問形式の場合、「満足」と回答したユーザーのロイヤルティが高い、サービスに関する良い評判を広めてくれるファンである、とは断言できない場合があります。具体的には以下のような懸念があるため、顧客満足度調査だけでチャーン(解約)の可能性や将来的な収益性を測ることは困難です。
・特別な不満がなければ「満足」と回答されてしまうため、具体的な顧客ロイヤルティの度合いが把握しづらい、または実態より高い結果が出てしまう
・商品・サービスそのもの以外(購入方法やサポートなど)に隠れているユーザーの不満をあぶり出しにくい
一方NPS®では、既存顧客に対して「この商品やサービスを知人や同僚にどの程度勧めたいですか?」と質問します。「勧めたいか」という聞き方をすることで、顧客は勧める具体的な理由を考えますし、具体的な理由に基づいて本当に勧めたいと思っている顧客だけが「勧めたい」という回答をしてくれることが期待できます。すなわち、NPS®では収益性に影響する顧客ロイヤルティをより精緻に測定できるというわけです。
NPS®の回答は、0~10点の11段階です。0~6点を「批判者」、7~8点を「中立者」、9~10点を「推奨者」と定義し、それぞれの割合から以下のとおりスコアを計算します。
NPS®スコアの計算式:推奨者の割合(%)- 批判者の割合(%)
本記事では、実際にNPS®の向上に取り組んでいきたいカスタマーサクセス(CS)担当者の方向けに、
・NPS®向上の取り組みにおけるポイント
・NPS®の質問設計のコツ
以上の2点について解説していきます。
NPS®を高めるためには、各ファネルにおける顧客のニーズを適切に捉え、商品・サービスと顧客が関わる体験の全体をよりよいものにしていく必要があります。
そして体験全体を改善するためには、経営層をはじめ、マーケティング・セールス・プロダクト開発・カスタマーサポートといった各部門が連携し、一丸となって取り組むことが必要です。
では、NPS®向上の取り組みにおいて、「顧客目線」と「全社の協力」を実現するためには、どういった点に気をつけるべきなのでしょうか。ここからは、抑えておきたい具体的なポイントを紹介します。
NPS®をはじめとするアンケートやユーザーインタビュー、営業やカスタマーサポートへの問い合わせなどから得た顧客の声を踏まえて行った改善の内容を、積極的にアナウンスしていきましょう。改善事例を顧客に周知することで、要望を聞き入れてくれたことへの満足感や、常に改善に取り組む企業であるという信頼感の醸成につながります。
クレームも忘れてはならない貴重な顧客の声の一つです。不満があっても声をあげずに離脱する顧客も少なくない中、クレームを申し立ててもらえるということは、ある意味顧客の企業に対する期待が表れているとも言えます。クレームを申告してきた顧客は、対応の仕方次第でロイヤルカスタマーになってもらえる可能性が十分にあります。ネガティブな評価もチャンスと捉え、素早くかつ適切に対応しましょう。
NPS®の調査時は、一般的に「この商品やサービスを知人や同僚にどの程度勧めたいですか?」という基本的な質問とあわせて、点数付けの理由・要因を調査するための質問も行います。深掘りをする質問を組み合わせることで、顧客体験の中のどういった要因がスコアに影響を与えたのか、改善につながる示唆を得られます。
調査の都度、前回までの結果や顧客ロイヤルティに影響する要因の仮説立案に基づいて、質問の内容は精査しましょう。NPS®は定期的に繰り返し実施することも重要です。前回の結果との差分からNPS®向上施策の効果を確認できるとともに、回数を重ねて深掘りするポイントを精査することで、より顧客のインサイトを見極めやすくなります。
また、同じような質問を何度も聞かれると、手抜きと感じられてしまうものです。質問内容をブラッシュアップすることで、「常に顧客に配慮し、改善の取り組みを絶やさない企業だ」というイメージを持ってもらえるようにしましょう。
NPS®向上の必要性について経営層や各部門に十分納得してもらえないことには、全社が一丸となって取り組みを行うことはできません。
説得にあたり特に伝えるべきポイントは、NPS®向上が収益増加につながるということです。他企業におけるNPS®の結果と収益の関連を示すデータや成功事例などを収集し、できるだけ定量的かつ具体的な根拠を提示しましょう。増収はあらゆる企業において目指すべき目標であり、企業の一員であればチームを問わず意識しているはずです。
顧客と接する現場からの距離が遠くなりがちな経営層や開発チームの場合、NPS®の結果が芳しくない、顧客ロイヤルティが下がっている、と報告されても実感がわかない傾向があります。
このような場合、過去のNPS®の調査結果から、特にネガティブな顧客の評価を共有することをおすすめします。顧客のリアルな声を耳にすることで一気に危機感がつのり、NPS®向上の取り組みを推進する後押しとなることも少なくありません。
もちろん、NPS®向上の取り組みを進める中で、ポジティブなフィードバックが得られた場合もぜひ共有しましょう。自分たちの営みが確実に顧客ロイヤルティの醸成につながっているという実感が、取り組みをさらに推し進めるためのモチベーションにつながります。
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前述のとおり、NPS®は定期的に実施し、調査結果から課題を見つけ、改善を繰り返し行っていくことが重要です。
次なる改善につながる調査結果を得るために、抑えておきたい質問設計のポイントをお伝えします。
NPS®の評価は、商品・サービスと顧客が関わる体験の全体によって決まります。
顧客体験の一部ではなく、全体を踏まえて評価されるという点がポイントです。単に商品・サービスそのものの性能が優れているだけでは、「他者に勧めたい」と思ってもらうことはできません。購入前のプロセスや、契約の手続き、購入後のアフターフォローやトラブル時の対応など、さまざまなシーンにおいて顧客に満足してもらえる体験を提供することが、NPS®の向上につながります。
前述のとおり、NPS®の調査を行う際は、勧めたい度合いの点数を問うだけでなく、点数付けの理由・要因を調査するための質問もあわせて実施します。顧客の回答から、現在提供している顧客体験がどう受け入れられているかを把握し、一連の体験の中で改善すべきポイントを見いだしやすくするためには、質問をカスタマージャーニーに沿って作成することが有効です。
カスタマージャーニーとは、顧客が製品・サービスとの関わりの各ファネルにおいて「どんな」体験を求めているかを整理したものです。商品・サービスを見つけて導入を検討するところから、導入後の運用に至るまでの流れの中でユーザーがどんな感情を持ち、どんなアクションをし、何を求めているのかをまずはカスタマージャーニーとして可視化しましょう。
カスタマージャーニーによって、NPS®の評価に影響を与えると想定される顧客体験の各要素を整理できたら、それらの要素を具体的に質問項目として提示しましょう。
いきなり漠然と「この商品・サービスを購入し利用した体験の中で、何が満足、もしくは不満足でこの点数をつけましたか?」「どういった要素がどれくらい評価に影響を与えましたか?」と聞かれても、体験の全体像を正確に思い出すのは難しいものです。アンケートに回答する直近の印象深い出来事に偏った回答になってしまうリスクもあります。質問の設計を誤ると、NPS®の評価へ影響を与えた真の要素が回答結果から読み取れなくなってしまうため、注意が必要です。
カスタマージャーニーに沿って質問を設計することで、回答から一連の顧客体験においてNPS®を上昇または下落させる各要因とそれぞれの影響度合いを把握し、漏れなく、できるだけ改善のポイントと対処の優先順位を特定できるようにしましょう。
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あらかじめ整理したNPS®に影響を与えうる要素に関する質問だけでなく、記述式の回答を求める項目もあわせて設計しましょう。例えば「その他にもスコアに影響を与えた要因があれば、具体的に教えてください」「どのような点が改善されると、より高いスコアをつけたいと思いますか」といった形です。想定外の顧客のニーズや問題点を拾い上げられる可能性があります。
ただし、前述のとおり回答に顧客自身も自覚していないバイアスが含まれる場合がありますので、結果は記述式以外の回答内容も含めて総合的に分析するようにしましょう。
この記事では、NPS®向上の取り組みを行う際のポイントや、質問設計時に留意すべき点について解説しました。
NPS®は、LTVなど、企業の収益に大きな影響を与える顧客ロイヤルティを定量的に測るための有効な指標です。加えて質問の設計次第で、単なるスコアのみならず、自社が提供する顧客体験の弱みと強みを明確化できます。CS担当者だけではなく全社の課題として、NPS®の向上に取り組めることが理想です。
NPS®の調査を適切な形で定期的に実施することで、よりよい顧客体験を提供し、顧客ロイヤルティの向上を目指しましょう。
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