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2022年03月01日
オンボーディングとは?SaaSカスタマーサクセスオンボーディングのメリット

オンボーディングとは
SaaSビジネスにおける「オンボーディング」は、サービスを新しく利用開始した新規ユーザーなどに対し、サービスをなるべく早い段階で理解し活用できるよう導くプロセスを指します。
「オンボーディング」は直訳すると「船や飛行機に乗り込む」という意味をもつ言葉ですが、それが転じ、ビジネスにおいて人材領域・CS領域で使われており、それぞれ異なる意味をもちます。
人材領域における「オンボーディング」
人材領域における「オンボーディング」は、組織に新しく参画したメンバーに対し、業界や業務について教育・研修を実施したり、社内制度や部署・メンバーの関係性などを共有することで、社内で能力を発揮し即戦力となれるよう会社として支援していく一連の動きのことを指します。
単なる業務研修に留まらない「オンボーディング」をしっかりと行うことで、会社のビジョンの早期浸透や横の繋がりの構築が可能になります。そうすることで、組織の心理的安全性が高まり、パフォーマンスの向上や離職率の低下にも繋がります。
SaaSビジネスなどのCSにおける「オンボーディング」
SaaSビジネスなどのCSにおける「オンボーディング」は、無料トライアル中や、サービスを新しく導入した新規顧客のユーザーに対し、提供するサービスの機能や活用方法をなるべく早い段階で理解してもらい、ユーザーが運用開始後に迷いなくサービスを使える「自走」状態になるよう導くプロセスを指します。利用初期からユーザーに成功体験を提供することで、継続的にサービスを利用してもらうことを目指します。その手法はさまざまで、機能の説明だけでなく、サービスを通して得られる価値を理解してもらうことや、ユーザーの状況を鑑み、必要な情報を得ることなども含まれます。
本記事では、SaaSビジネスにおけるオンボーディングについて解説していきます。
オンボーディング支援を実施するメリット
オンボーディング支援を実施することで、継続利用の促進(解約率の低下)、顧客単価の引き上げ、CS担当者の工数削減など、さまざまなメリットがあります。
実際、「サービスに対する不満・不快感を感じたことにより離脱するユーザーの割合が全体の8割を占める」というデータや、「チャーンレートが5%下がると、収益が25〜95%改善する」というデータもあり、オンボーディング支援を実施することのメリットは裏付けられています。
①解約率の低下(継続利用の促進)
オンボーディングを通じて、ユーザーがサービスの利用方法や搭載機能を正しく理解できるようになることで、サービスに対し高い価値を感じられるようになり、サービスの解約率の低下(継続利用の促進)に繋がります。
特にSaaSビジネスはサブスクリプション型のビジネスであるため、顧客から継続的に長く利用してもらうことが企業にとっての利益に直結します。カスタマーサクセスの一環として、顧客の利益に貢献することでLTVの向上に繋がります。
②アップセル、クロスセルによる顧客単価の引き上げ
オンボーディングによるメリットは、初期導入時における「顧客定着」だけに留まりません。SaaSビジネスにおいては、アップセルやクロスセルにより、利用アカウント数の増加や、受注しているプランに加えて、オプションを追加してもらうことで顧客への提供価値を高めることが重要だとされています。そこで、オンボーディングを通じて、ユーザーにサービスに対し高い価値を感じてもらうことで、顧客単価の引き上げによりLTV向上にも貢献します。
③CSの工数削減
的確なオンボーディングを実施することにより、CS担当者の工数削減に繋がります。工数を削減することで、他の工数をかけるべきことに注力することも可能です。また、CS担当者側のメリットだけでなく、オンボーディングの完了の定義やアプローチ方法を明確にすることで、商談の時間を、基本的な機能説明などの時間に使うのではなく、ユーザーに即した具体的な活用方法など、ユーザーにとって建設的な話をできる時間にすることもできます。
オンボーディングを成功させるポイント
①サービスの価値を正しく理解してもらう
SaaSビジネスは競合の台頭が著しいのが特徴の一つに挙げられます。しっかりとオンボーディングを実施できていなかった場合、無料トライアル期間中の商談時に「機能説明」に時間を取られてしまい、その企業に即した活用方法などの具体的な話をする時間を確保できず、サービスの強み・魅力を十分に伝える機会を持てずに失注してしまう、ということはよくあります。こういった事態を避けるため、提供する機能やユーザーに刺さるポイントなど、「自社が提供するサービスの価値」を正しく理解してもらい、独自の強みをアピールし差別化を図っていくことが非常に重要です。
②顧客の利用目的に明確にする
いくら優れたサービスであっても、ユーザーのニーズにマッチしていなければそのサービスは活用されないでしょう。顧客の導入の意図、業務プロセスや課題を正確に把握できていなかった場合、顧客のニーズに合っていないサポートがきっかけとなり解約に繋がってしまう可能性があります。顧客の実現したいことを明確にすることで、カスタマーサクセスの一環として、オンボーディングを通じて顧客の成功に貢献できるようになります。
③顧客に合わせたオンボーディングプロセスを設定する
同業種・同サービスを提供する場合であっても、企業や担当者の求める活用方法や前提知識は大きく差があります。オンボーディングを行うにあたり、責任者や担当者にしっかりとヒアリングを行い、どこが活用促進のための懸念点かを把握できれば、離脱・解約のリスクを減らすことができます。顧客に合わせてどのようなサポートが必要になるのかを検討することが重要です。
オンボーディングの進め方
・ハイタッチ
ハイタッチ施策の対象となる顧客層は、LTVが高く自社の売上や利益に大きく貢献する、いわゆる「大口顧客」を指します。ハイタッチなオンボーディングは、問い合わせへの対応とは別で訪問や定例会議の実施など、人的リソースを前提としたきめ細かいアプローチをする施策です。LTVを高める施策としては非常に有効ではありますが、当然ながら対象顧客数が増えれば増えるほどサポート工数がかかるというデメリットもあります。
・ロータッチ
ロータッチ施策の対象顧客層は、ハイタッチとテックタッチの中間に当たる顧客層以上を指すことが望ましいです。ハイタッチと比較すると能動的かつ個別の施策ではなく、コールセンターでの対応など、ある程度「型化」された受動的な施策を行うことが基本です。
・テックタッチ
テックタッチ施策は、LTVで分類した際に最も低い無償ユーザー以上のすべての層を対象に行います。1社あたりのLTVは高くないものの、この層の顧客数が多く、合計の収益額や今後のポテンシャルは大きくなります。そのためいかに人的リソースやコストを抑えつつ、効果的な施策を行うかが重要となってきます。具体的には、動画やチュートリアルシステムなどのテクノロジーを活用した施策を指します。
オンボーディング設計と指標
ひとくちに「オンボーディングを実施する」と言っても、企業や顧客のニーズ・状況、あるいは提供サービスの特性によって、「初期設定を完了すれば良い」「ユーザーの利用率が一定の割合を超えた」「完全にユーザーが自走できる状態」などと、目指すゴールおよび必要なアプローチも異なります。「何をもってオンボーディングの完了とするか」の指標はデータを元に定義しましょう。
定義にあたっては、
- ユーザーが迎えるフェーズの設定
- 各フェーズでのゴールの設定
- 想定される顧客の行動
- 想定される課題・必要なアプローチ
など、カスタマージャーニーを踏まえたオンボーディングの設計を行いましょう。
まとめ
この記事では、カスタマーサクセスの重要な施策である、オンボーディングの定義やメリット、実施にあたってのポイントなどを紹介しました。
企業や顧客のニーズ・状況に即したオンボーディングを実施することで、LTVを高め、顧客の定着を目指しましょう!